
研究者になるにはどうすれば良いの?

研究者って具体的に何してるの?
今回の記事では研究者について知りたい人・なりたい人に向けて,
研究者になるための具体的な進路と方法についてわかりやすく話していこうと思います。
でもまず「大学に入る必要があるのか???」と思う人のために別の記事を書いていますのでこちらも参考にしてください。
自己紹介
筆者はある国立大学・大学院で6年間学びました。
大学では3年生から研究室に所属し,それから3年の間,いろいろな研究者の方々と一緒に研究をしました。
研究室の先輩や同期や後輩には実際に研究者になった人もいます。
こんな経験から,研究者にはどうやってなるのかについて話していこうと思います。
避けては通れない大学・大学院
研究者になりたい人は大学を卒業する必要があります。
大学には学士課程(4年間)・修士課程(2年間)・博士課程(3年間)とあります。
研究者として就職するならこのうち,学士課程(4年)と修士課程(2年)を修了することは必須条件になります。
大学にどうやって入れば良いのかという話は他にもたくさんの良い記事があるのでここでは紹介しません。
ここでは大学院への入り方について説明します。
大学院にはどうやって入る?
大学院への入り方は大体は大学と同じで大学院入試を受けることになります。
大学院入試は大きく
・学科試験
・面接試験
に分かれます。
大学入試と大きく違うところはこんな感じです。
・ほとんどの大学院入試で面接試験がある
・学科試験ではかなり専門知識が必要になる
大学院は「研究者養成所」みたいな役割があるところです。
ですのでもちろん事前に「あなたには研究できるだけの専門知識はありますか?」
と確かめるために学科試験を受けないといけません。
これに結構落ちてしまう人がいるので,受かるコツをすこしだけ話します。
大学院の学科試験合格のコツ
大学院では研究分野ごとに研究室があります。
1人の教授につき,1研究室あると言った感じです。
研究は「まだわかっていないことを明らかにする」というものなので,1つの研究分野に対して1つの研究室しか研究していない場合がほとんどです。
例えば私がいた研究室は「地衣類」を研究していました。
ですのでその研究室に入りたい場合は地衣類に対しての専門知識が必要になります。
当然,学科試験でも地衣類に関する問題が出題されることになります。
地衣類に関して勉強したい場合,他の大学や他の書籍には書いていないその研究室独自の内容を聞かれます。
つまり,その研究室が出している論文や過去に出題された問題を参考にするしか対策のしようがありません。
このように大学院に入りたいと思った場合,対策方法はかなり限られます。
・研究室が出している論文を読む
・過去問を解く
これのみです。
論文は大体インターネット(Google scholarなど)に出ている論文を参考にすればいいですね。
過去問は必ずその大学の図書館にまとめて置いてあるので,実際に大学に出向いて図書館に行けば必ず手に入れることができます。(コピー機でコピーしましょう)
内部進学者が有利なのは間違いないですが,歯が立たないというわけではないのでしっかり勉強して備えましょう!
大学院面接試験のコツ
学科試験の次は面接試験です。
教授陣の面接試験での一番の目的は「どう言う研究をしたいのか聞く」ことです。
大学院は研究をするところなので
・大学院に入ってどんな研究がしたいのか
・その研究はうちの大学の研究室でできるものなのか
・研究に将来性はあるのか
などがチェックされます。

- 自分のやりたい研究があなたの研究室の専門分野にこれだけフィットしていて,
- こういう研究プランで研究を進めて,
- これだけ発展する見込みがあります。
これだけ言えればほぼ受かるでしょう。
避けては通れない博士課程(ドクター)

大学院に入って2年間勉強したら次のステージは博士課程(ドクター)になります。
実を言うと大学院2年間の修士課程(マスター)を終了すれば研究者にはなれます。
実際にマスター上がりで研究機関に就職した友達もいます。(多くはないですが…)
しかし,今の時代,研究者になるにはドクターは必須条件という暗黙の了解があります。
マスター時代に相当優秀な成績を収めない限り,ドクターに進学することになります。
ドクターではプラスで3年間を自分の研究期間に当てることができます。
ここまで来ればもう研究者見習いと言った感じです。
ではドクターになるにはどうすればいいのでしょうか。
博士課程(ドクター)になる方法
博士課程(ドクター)になるには大体は学科試験はなく,教授への研究発表のみの場合が多いです。
修士課程(マスター)で書いた修士論文をもとにどれだけさらに研究を発展させられるのかについての面接試験が時期を変えて数回あります。
面接では
・自分の研究を紹介する研究発表
に加えて,

自分の研究をドクターの3年間でこれだけ発展します!!
と言う発表をすることになります。
「晴れて研究者!」への長い道のり
ドクターが終われば晴れて研究者となります。
しかし,ここからが長くなる場合もあります。

研究者の道のりは長いですね…
大学の研究者になりたい場合,ほとんどは採用試験のようなものはなく,
簡単に言えばコネで就職することになります。
研究していれば嫌でも他の研究者と仲が良くなります。
優秀な研究発表をしていれば目もつけられやすく,

良い研究してるね。うちの大学こない?
と言われて就職すると言うパターンがほとんどです。
それくらい研究者の席というのは全員に開かれているわけではないということですね。
したがって,他の研究者に目をつけられるまではずっとドクターが続きます。

ドクターは3年間じゃないの!?
ドクターは3年間で終わりますが,就職できない場合,「ポストドクター」という身分になり,ドクターが継続します。
いわゆる「研究者浪人」みたいなものですね。
ちなみに研究者に就職するには自分の専門領域を少なくとも2つ以上持つと有利になるようです。
もし「地衣類」の研究者であれば,「分子生物学」にも専門領域であれば就職しやすいということです。
研究者に風当たりがきつい日本

このように研究者になるにはかなり長い道のりが必要になります。
この長い道のりを達成できるのは

この研究分野が大好き!
ずっと学んでいたい!
というメンタルがあってこそです。
かなり狭く厳しい道ではありますが,それだけ世の中への貢献度は凄まじいです。
研究者が世の中の発展を支えていると言っても過言ではありません。
しかし,最近の日本で

まだ就職もせずに研究ばかりしているの?

好きなことばかりしてないで早くお金を稼げるようになりなさい

まだ社会人にならずに学生してるの?
など,研究者への風当たりがかなり厳しくなっています。
研究者が世界を支えているということを知らずにこのような風潮が生まれてしまっていることが本当に悲しいばかりです…
少しでも研究者が気持ちよく研究できるように
「社会人になって当たり前」
「お金を稼いで当たり前」
と言った狭い考え方がなくなっていくといいなと思います。
今回は結構難しい話になってしまいました笑
また,大学に向けて頑張ろう!!という方向けに高校生が身につけるべき力についてしたの記事で話しているのでチラッと見ていってください。
最後まで読んでいただき,ありがとうございました!!!
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